ホームズの推理の考え方を心理学・科学的に考える本【シャーロック・ホームズの思考術(ハヤカワ ノンフィクション文庫)】15冊目

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シャーロック・ホームズの思考術(ハヤカワ ノンフィクション文庫)

 

 

シャーロック・ホームズの考え方を考える

 

ホームズはなぜ初対面のワトスンがアフガニスタン帰りだと推理できたのか?
バスカヴィル家で片方のブーツがなくなったことから、なぜ真相を見出せたのか?
コナン・ドイルの小説の中でホームズがいかに名推理を導いたか、その思考術を最新の心理学と脳神経科学から気鋭のジャーナリストが「マインドフルネス」の視点で解き明かす。
注意力、観察力、記憶力、洞察力、分析力、想像力をアップさせ、あなたもホームズになろう!

 (内容紹介より)

 


「一般人のワトソン」と「特殊な思考術を持つホームズ」。

 

その違いはどこにあるのか。

 


ホームズの思考方法とは。

 

それらをシャーロックシリーズ本編から抜き出しつつ、心理学・脳科学などを駆使して追っていきます。

 

また、一般人ワトソンの思考法とホームズの思考法を比較し、ワトソン脳からホームズ脳への移行を示唆します。

 

ホームズ論であり、心理学・脳科学の本。

 

この本はシャーロック・ホームズシリーズを読んだことがない、もしくは名前だけ知っている、という人でも、問題はありません。

 

が、シャーロック・ホームズの知識がある方が、楽しめるのは事実です。

 

また、この本は、2011年に連載された2つのブログが元になっています。

 

よって、重複している部分もあり、翻訳ものでもあるため、くどさや冗長を感じる人もいるかもしれません。

 

しかし、1回読んだだけで頭に入れるのは難しいだけに、復習も兼ねている、と考えるのも、考え方の1つだと思います。

 

この手の本は、全てを吸収するというより、自分が「これだ!」と思うものを拾い上げていく本です。

 

「示唆」から何を得て、何をどう実行するか。

 

それは自分次第です。

 

本書からの引用メモ

科学的思考法は、対象物をごく普通に見ることから始まる。つまり、観察だ(p30)

それが実在しないと理解するためには、それが実在したと、一瞬だけ信じる必要がある(p38)

専門家というのは自身の専門分野の範囲内において、世界を違った目で見ていると主張している。
初心者には見えないものを見ていて、訓練を受けていない目にはまったくはっきりしないものでも、ひと目見ただけでパターンに気づける(p46)

気づいてすらいない、かすかな意識下の手がかりに基づいて結論に飛びついてしまう(p81)

会ったこともない人への好感や反感は予め決まっている(p87)

自分自身と自分の考え方に懐疑的であれ(p98)

"逃走した"教師を探すのではなく、修飾語の付かないただの"教師"と少年を探さなければいけなかった(プライオリ・スクールの話)。(p143)

<注意力>というものは、私たちの<意識すること>がなければ、隠れた感覚に導かれる(p151)

何もしないということを選んだ(p160)

ホームズとワトソンの違いは積極的関与(p170)

「つじつまが合っている」とき、ほかの見方をするのはきわめて難しい(p257)

現実にはただの絵しかないときに、対象者の脳が、両手の食い違いを納得できるように説明する一貫した"物語"を生み出した(p260)

「難しいのは、評論家や報道者たちの言葉の中から、事実を―否定すべくもない絶対の事実の骨格を抜き出すこと」(p273)

ルクレティウスは、世界に存在するいちばん高い山は自分がそれまでに観察したいちばん高い山と同じだと信じている人間を、ばかと呼んだ(p282)

自分が探しているものを見る(p288)

報いがあればそれだけ、早く習慣になり、断つことが難しくなる(p304)

くじの札を自分で選んだ人のほうが、誰かに選んでもらった場合よりも、ラッキーな結果が出ることに自信をもっていた(p323)

取引を重ねれば重ねるほど、それだけうまく取引する自分の能力に自信をつけていく傾向がある。
結果として、しばしば能力以上の取引をすることになり、そのうちにそれまでのパフォーマンスを下回ってしまう(p323)

「最もパワフルな頭脳は平静な頭脳である」(p403)