ジャンヌ・ダルク―愛国心と信仰
本書はジャンヌ・ダルク生誕から処刑(とちょっとしたその後)までを、歴史に絡めながら見ていきます。
筆者はまえがきでこう書いています。
「主として公判記録をもとに、歴史的事実の再現につとめた」
イメージとしてのジャンヌ、宗教的なジャンヌではなく、事実としてのジャンヌです。
そのため、エンターテイメント的な面白さではなく、歴史的な面白さ、興味深さになります。
ジャンヌ・ダルクは映画や漫画、ゲームなどにも登場し、歴史的にも非常に有名です。
しかし、彼女の本当の姿はどのようなものだったのか、そしてどのような存在だったのか。
歴史に何をもたらし、周囲の人間はどう影響されたのか。
その名前と比較した時、それらを知っている人は少ないと思います。
それを端的に見ていけるのが本書になります。
ジャンヌ・ダルクについて知りたいけど、修飾された話は必要ない、という方におススメです。
本書からの引用メモ
奇蹟は当時の人びとには珍しいことではなかった(p15)
そういう時代だったからこそ、神のお告げをきいたというジャンヌのことばも、比較的容易にうけいれられた(p16)
重い甲冑をつけた騎士中心の戦略思想は、飛道具の発達のまえに無効を宣せられた。
一般に騎士が無力化したのは鉄砲の発達による、といわれているが、鉄砲以前に長弓が、時代の変化を告げた(p37)
ジャンヌは合理主義者(p94)
新兵器の大砲を重視し、娼婦の出入りを禁止(p109)
故郷ドムレミイの免税をねがい出た(p128)
負傷したとき、甲冑を神に捧げる風習があった(p138)
ジャンヌは合理主義者(p142)
中世の騎士は、脱走しないことを宣誓すれば、かなりの自由を許された。
しかしジャンヌは、自分が服従を誓うのは神にたいしてだけだといい、宣誓を拒絶した(p148)
カトリック教会と貴族制とを二つの軸にする中世の枠を、すでに逸脱していた(p157)
フランスの中華思想(p183)